ジェネシス(創世記)
アフリカ東部では、大地が盛(も)り上がり、山脈(さんみゃく)が縦(たて)に連(つら)なった。それは人類を誕生させる転換期(てんかんき)でもあった。さらに、大小の隕石群の落下が続いた。

 中近東周辺の海に落下した巨大隕石は、内部を深くえぐった。その大地は、海抜(かいばつ)よりも低い位置(いち)に形成された。

海原(うなばら)を蒸発(じょうはつ)させ、塩分(えんぶん)の濃(こ)い湖(みずうみ)(死海(しかい))を作り上げた。

海から流れ込む川が、照(て)りつける太陽によって蒸発し、死海に達することなく、「塩(しお)の塊(かたまり)」として大地を覆(おお)いつくした。

 アフリカ大陸の南端(なんたん)にも、隕石が落下した。この落下で炭素原子(C)が、その衝撃と圧力により大量に加工され、光り輝くような石に変えた。

それは、世界で一番固い鉱石(こうせき)となった。いわゆる、「ダイヤモンド(金剛石(こんごうせき))」である。

 付着(ふちゃく)していたウイルスや微生物によって、炭素原子が「発酵(はっこう)」した。

それは黒い液体に代(か)わり、黒い粘土(ねんど)のようなゲル状(弾力性(だんりょくせい)のある固形物。コンニャクや寒天(かんてん)など)になった。つまり「石油・天然アスファルト・石炭」である。

 時を経(へ)た中近東の大地は、緑(みどり)豊(ゆた)かな草原(そうげん)地帯(ちたい)となっていた。

当時はまだ、土だらけの砂漠(さばく)に覆われてはいなかった。雨も降(ふ)り、温暖な気候に恵(めぐ)まれていたようだ。

将来、この眠れる大地の財宝の下(した)で人類は、ピラミッドやスフィンクスを建造(けんぞう)することになる。

 アフリカの山脈が東西に隆起(りゅうき)して、分断された。これにより類人猿(るいじんえん)たちは、西と東の二つの種族(しゅぞく)に分かれた。

西の類人猿たちは、チンパンジーやゴリラなどに進化した。東に住む類人猿たちは、高度な知能(ちのう)を持つようになった。それも、火星の隕石からもたらされたウイルスが原因(げんいん)であった。

 
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