ジェネシス(創世記)
シャーは別れてから気がついた。暴走族上がりの自分を、熱心に更生させようとしてくれた。父親からも見放されていた。

その恩義に、応えなければならない。シャーは師匠の教えを守り、良き司祭者になることを誓うのであった。

 シャーが訪れたある町では、井戸水の水質が悪くて飲めたものではなかった。シャーは蛇口付きの大きな土器を作らせて、その中に熱湯消毒を施した大きめの石・小石・木炭・砂利を入れ、上に網・麻布をかぶせた。簡単ではあるが「浄水器」を作ったようだ。

 シャーはギルガルの町に立ち寄った。野生のつる草を、鍋物にして食べた町の人が腹痛を訴えた。

シャーはつる草の入った鍋に「灰」を入れ、一晩寝かせると、解毒されて食べることができた。灰汁抜きだ。高温で熱した灰には、殺菌作用があるようだ。

 ある町を訪れた。一00人の民にパンを作ろうとしていたが、パンは二0個分しか作れない。

シャーは小麦粉にイースト菌を入れると、一晩で生地が発酵して膨らんだ。それから、小さくて丸いクッキーがたくさん作られた。

 敵国であるパレス系アラム人のベン王が、ある町を支配していた。将軍マンは、アトピー性皮膚炎を患っていた。敵同士だが、リヤと将軍マンとは親交があった。

シャーが、将軍マンの住居に立ち寄った。二人はワインを飲み交わしながら、リヤのことを語り合った。宗教や異教徒、政治の会話はなかったが、人の道の教えについては語り合っていた。


 
< 164 / 375 >

この作品をシェア

pagetop