ジェネシス(創世記)
シャーは、リヤから教えられた強酸性の温泉の事を、将軍マンに教えた。シャーの言葉を信用した将軍マンは、その温泉を探しあて入浴した。何日間も静養していると、将軍マンの皮膚病はいつのまにか癒された。

 高温なので川の水で薄めながら、入浴していた。PH(ペーハー。水素イオン濃度の表示法)は、一.一~一.二と酸性度が高かった。

効能としては、ガン・糖尿病・リウマチ・クモ膜下出血による身体マヒの回復・アトピー性皮膚炎などの治療に役立った。

 その温泉場の近くには、微弱な放射線ラジウム(Ra)を発する、「北投石」と言う奇妙な石がある。

そこは、入浴だけでなくゴザを敷いて、熱い岩盤の上に寝転がって病を癒す者もいる。たまに引退したリヤも、ここを訪れていた。

 ヨルダン川の岸辺で、大工たちが木を切っていた。その中の一人が、鉄製のオノを落としてしまった。

それは、棟梁から借りた大切なものだ。紛失したことが知られたら、全員がクビになる。信頼を喪失してしまう。

 その場に居合わせたシャーは、長い木の枝の先端に「磁石」を取り付けて、川の中を一緒になって探した。

数時間かけて探すと、鉄のオノは磁石に反応した。反応したものの、重くて拾えない。シャーはその感触を頼りに、タモ網でそれを拾いあげるのであった。



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