ジェネシス(創世記)
紀元前四年、ロデ国王は他界した。後継者は、次男のアンテ。兄アリストはあまりにも父より優秀だったために、ロデ国王はその才能をねたんだ。

殺意まで抱いてしまい、とうとうロデ国王は、長男と妻を殺してしまった。その原因は、精神統合失調症だったかもしれない。

 次男アンテは、長男アリストの嫁ディアを奪い無理矢理結婚してしまった。血はつながってはいないが、近親結婚である。

当時としては、まだ当たり前の慣習だった。アンテは、アラビア国王の娘という正妻を追い出してまで、結婚してしまったようだ。

 ロデ国王の死後、ゼフ親子はエジプトから故郷ナザレの町に戻った。ゼフは家具職人として、腕前を振るった。イゼスもまた、職人の息子としてその匠の技を磨いた。

「幼子はたくましく育ち知恵に満ち、神の恵みに包まれていた(ルカによる福音書二)」 

「私が自分の父の家にいるのは当たり前だということを、知らなかったのですか(ルカによる福音書二)」

 イゼスは、仕事の合間をみて学問に励んだ。イゼスは、呑み込みが早かった。弁舌にも長けていた。

三人の神官や司祭者たちは、新しい国王を育てるため、イゼスにユダの戒律を徹底的に教育を施した。

「聖書」は毎日のように、読まされた。次第に、その内容全部を暗記するまでに至った。特にダデの作った「詩編」が好きだった。

「呼び求める私に答えて下さい、私の正しさを認めて下さる神よ(詩編四)」
 
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