ジェネシス(創世記)
ルミが殺害されてから、さらにイゼスの態度や考え方が変わり始めた。ユダ人の宗教観念や歴史などの教育を受ければ受けるほど、イゼスは異端児的な思想を抱くようになった。

 ユダ人の厳格な習慣・しきたりが、厳し過ぎるために庶民は苦役を強いられていると、主張し出した。

美味しい肉料理でさえ、戒律によって食べることも許されない。もう少し戒律を緩めても良いのではないか。自由な生活を送ってもよいのではないか。

「廃止するためではなく、完成させるためである(マタイによる福音書五)」

 人は常に罪人である。一生涯を通して、罪を犯さない潔癖な人は一人もいない。そのため、悔い改めることで罪人を許すことにした。

隣人たる罪人を、愛することを悟らせた。法律や規律だけで、人々の心を縛ることはできない。

「人を裁くな、あなたがたも裁かれないようにするためである。真珠を豚に投げてはならない(マタイによる福音書七)」

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