ジェネシス(創世記)
イゼスは、戦術や武術などを学ばなかった。それらの教育を拒否した。ローマ人と戦って、血を流してまで国王になる必要はない。

いつの時代でも、民たちは「主」の信仰から外れた行為を行ってきた。国王もまた同じだ。都合の良い時だけ、「主」の名をみだりに唱えてきた。ユダ人が求めている救世主とは、ローマ人を倒すことにある。

「起きよ、光を放て。私があなたに与える命令は、平和。あなたを支配するものは、恵の業(イザヤ書六0)」

「主」への信仰を求めるのに、ユダ人だけにこだわる必要性はない。「主」を信じる人がいれば、他の国、他の民族でも良いのだ。他の宗教の信者を改心させれば良い。白色系でも黒色系でも黄色系でもかまわない。

 国王や貴族や軍人などの身分は関係ない、階級や国籍や人種は問わない。殺りくによる世界制覇ではない、信仰心をもって世界を支配する。その時イゼスは、ユダ人ではなく、世界の「国王」となる。

「神はユダヤ人だけの神でしょうか。そうです。異邦人の神でもあります。実に、神は唯一だからです(ローマの信徒への手紙三)」

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