ジェネシス(創世記)
ある日、アダとイグたちの七人の集団は狩りにでかけた。しかし二人は、こっそりと離れては禁断の山へと向かった。

二人は、好奇心に駆られてしまったようだ。誘ったのはイグだ。人一倍、冒険心の強い女性だった。その山には、獣道を歩いて七日以上はかかった。

 二人は、禁断の山の頂きに着いた。足下に、アダは一つの石を見つけて、拾い上げた。一瞬、青白く光ったのが見えたという。

それは、現世に存在するような普通の石ではない。遠い宇宙から飛来した、特殊な石だったのかもしれない。

下界を見下ろすと、八合目あたりに、リンゴの木の群落が実っているのが見えた。酸(す)っぱそうなリンゴの木である。

粗末な木で作った家がある。誰かが住んでいる。今は空き家だ。イグは、赤いリンゴを一つ取って食べてみた。甘酸っぱい。お腹がすいていて、夢中になっていくつも食べた。イグに誘われ、アダも食べた。

「女は、非常に完成した悪魔である(ユーゴ)」
「女は、地獄の使いなり(華厳経)」

 イグはリンゴをもう一つ、掴み取ろうとすると、そこに一匹の「巨大な蛇」が木の枝に絡み付いているのを見た。イグは腰を抜かして驚いた。

アダは、イグを守ろうと前に出た。いや、それは大蛇ではなく尻尾(しっぽ)も首(くび)も長く、太い四本足の巨大な怪獣だった。体長一0メートル以上はあったらしい。アダは、勝てないと思った。

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