ジェネシス(創世記)
「幼子は身をも心も健やかに育ち、イスラエルの人々の前に現れるまで荒れ野にいた(ルカによる福音書一)」

 イゼスは三0歳となった。「主」から選ばれた者、「神の子」と名乗るまで自信を得た。山奥を旅立ったイゼスは、ある人物のもとへ向かった。

その人から洗礼(パプテスマ。信者になるための儀式)を受けなければ、イゼスは「救世主」として認められない。「主」からの祝福を、受けることはできなかった。

「荒れ野で叫ぶ者の声がする(ルカによる福音書三)」

 セイ派のヨネは、人里離れた荒れ野で修行を積んだ人物だ。ヨネは、ガリラヤ湖に近いヨルダン川で、貧しい人たちのために洗礼を行っていた。

ヨネは、ずっとイゼスの到来を待ち望んでいた。ヨネはイゼスに、洗礼を授けるために生まれてきた人なのだ。それだけヨネは、重要な役割を担っていた。


< 220 / 375 >

この作品をシェア

pagetop