ジェネシス(創世記)
「人間をとる漁師にしよう(マタイによる福音書四)」

 洗礼を受けたイゼスは、まず弟子たちを探し求めた。一二士族に習い、イゼスもまた一二人の弟子を探した。大仕掛けのマジックで人々をだますには、弟子が必要だからだ。

「心の貧しい人々は、幸いである(マタイによる福音書五)」

 弟子たちが空腹を訴えた。二匹の魚と五つのパンしかない。そこへ、イゼスの教えを聞きに大勢の民衆が集って来た。民衆は、パンやブドウ酒や食料を持参してきた。無償で講演するのであるから、せめて寄付(食料)で礼を尽くすのは当然であろう。

 これで、一二人の弟子たちのカゴの中は、食料で満たされた。イゼスにとって魚とは「信者」のことであり、パンとは「寄付金」であり、カゴとは「弟子」のことを意味していた。

 イゼスは、弟子たちに薄いクッキーを焼かせた。それを一枚一枚、信者の口に直接与えた。老若男女を問わず五000人以上の人が行列を作り、クッキーを食べた。この信仰により、彼らの心は満たされた。

決して空腹を満たすために、食べるものではない。
それでも人が大勢集まると、さすがに食料の確保も難しくなってきた。イゼスは彼らに断食を励行した。

 イゼスは、催眠術を大衆に実施した。集団催眠である。断食に耐えられない者が出てくると、これで満腹感を与えさせた。

それでも、未熟者は挫折することが多かった。イゼスにとって断食は、過酷な修行だ。これを、克服しなければならなかった。

「聞いて悟りなさい。口に入るものは人を汚さず、口から出て来るものが人を汚すのである(マタイによる福音書一五)」
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