ジェネシス(創世記)
弟子ヨダも、その計画の一人だった。確かに師匠であるイゼスは、憎かった。けれども、ヨダの動機を逆にイゼスは利用したのだ。

弟子ヨダは、イゼスを裏切ったと見せかけるための策略だった。イゼスの顔を知らないから、サイ派は探しようがない。

 ヨダを裏切り者として使いに出し、イゼスを逮捕させるように仕向けた。これによりイゼスは逮捕され、十字架にかけられて処刑される。それは、計画通りに実行された。

 一つ違ったのは弟子ヨダが、イゼスの謀略を知らない信者たちの手によって、殺害されたということだった。首吊り自殺のように見せかけて、殺されたのだ。

計画を知らない信者たちを、憎むことはできない。イゼスと弟子の一一人は、弟子ヨダの死に対して冥福を祈った。

「お前には(真理の)全てを話し終えた。目を上げ、雲とその中の光、それを囲む星々を見なさい。皆を導くあの星が、お前の星だ(ユダの福音書)」

 イゼスは弟子たちに、他人のふりをするように指示した。イゼスの信徒だと知られると、サイ派のユダ人から命をねらわれる危険性がある。

弟子たちを死なせるわけにはいかない。自分が復活するためには、弟子たちの看病が必要不可欠なのだ。

「おれは、イゼスという男を知らない」。ペロは、三回もその言葉を発した。知らないふりをすれば、弟子たちの安全は、保障されるはずだ。

「一粒の麦は、地に落ちて死ななければ、一粒のままである。だが、死ねば、多くの実をむすぶ(ヨハネの福音書一二)」

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