ジェネシス（創世記）
奇跡が起きた。七つの隕石のうち一番小さいタイプが、政府軍の頭上に直撃したのだ。政府軍は一瞬にして壊滅した。

アメリカのこんな砂漠地帯に落下するとは、天文学者たちはだれも予測していなかった。

　天文学者たちは軌道計算を誤った。太陽風と地球や銀河の重力場の影響を、考慮していなかった。落下する日時を見事に外してしまった。

他の六つの隕石もまた、予定地点を外す可能性が高い。どこに落下するのかは不明となった。今頃計算しても、もう遅い。世界中の人々が不安に陥った。逃げた場所が、落下地点かもしれないのだ。

　隕石の落下が続いた。太平洋の北部に落下し、ハワイ諸島が一晩で水没した。太平洋沿岸地帯は、三００メートル以上の高さの波が押し寄せ、日本の大半の陸地が海底に沈んだ。

　インド洋に隕石が落下した。同じく、数百メートルの高波によって沿岸部は、海の藻くずと化した。オーストラリアは、インド洋と太平洋の両方からの高波の被害を受けた。

この衝突によって、ヒマラヤ山脈の標高がより高くなった。エベレストの標高が、八八四八メートルから九００一メートルと一気に上がった。

　北極海に隕石が落下した。北極の氷は海上に浮いているだけなので、溶けても海面が上昇することはない。しかし氷河は崩壊した。

砕かれた巨大な氷山が、高波にのって大西洋を急激な勢いで南下した。巨大な氷山の弾丸が、攻撃しているようなものだ。直撃を受けたニューヨークやイギリス北西部の都市は、瞬く間に全滅してしまった。
　

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