ジェネシス(創世記)
世界中で、宇宙船の強奪は激しさを増した。軟弱な一般市民が反乱を起こし、政府軍の宇宙船をもねらい出した。
政府軍と市民の間で衝突が起こり、殺りくは日常茶飯事となった。一般市民による攻撃行為は計画性がないため、逆に宇宙船を破壊し尽くした。これで、宇宙船の数が減ってしまった。
私たちの方舟を、大勢の市民が武器を持って略奪しにきた。私たちも一般市民だ。彼らを迎え撃つしか、他に方舟を守る手段はない。
市民同士で戦い、血を流すことにやりきれない思いがある。彼らにだって、愛する家族がいるのだ。
しかし彼らの攻撃を阻止してくれたのは、皮肉にも政府軍だった。市民を殺害してまでも、私たちの宇宙船を奪おうとしている。彼らも生き抜くために、必死なのだ。
メギド時間で、六月六日午前六時。最後の審判が下された。メギドに直系一0キロメートルの巨大な隕石が直撃した。
反対側にあるここアメリカの平原地帯では、竜巻が四個も発生している。これは計算外だ。竜巻に巻き込まれたら、浮上は不可能だ。
こんな状況下で、次女は陣痛に襲われ、分娩台に上がった。外科医である私の妻が執刀した。娘婿も立ち会っている。
私は司令室のイスに座り、黙って司令官の動向を伺っている。何もできない。無力だ。この時ほど自分が、情けなく思えたことはなかった。
何だ、この微妙な音は。推進機関がおかしい。細い油圧管に、空気が混入している。ノッキングだ。だれも、異常音に気づいていない。私が、機関室に行かないと駄目なようだな。
政府軍と市民の間で衝突が起こり、殺りくは日常茶飯事となった。一般市民による攻撃行為は計画性がないため、逆に宇宙船を破壊し尽くした。これで、宇宙船の数が減ってしまった。
私たちの方舟を、大勢の市民が武器を持って略奪しにきた。私たちも一般市民だ。彼らを迎え撃つしか、他に方舟を守る手段はない。
市民同士で戦い、血を流すことにやりきれない思いがある。彼らにだって、愛する家族がいるのだ。
しかし彼らの攻撃を阻止してくれたのは、皮肉にも政府軍だった。市民を殺害してまでも、私たちの宇宙船を奪おうとしている。彼らも生き抜くために、必死なのだ。
メギド時間で、六月六日午前六時。最後の審判が下された。メギドに直系一0キロメートルの巨大な隕石が直撃した。
反対側にあるここアメリカの平原地帯では、竜巻が四個も発生している。これは計算外だ。竜巻に巻き込まれたら、浮上は不可能だ。
こんな状況下で、次女は陣痛に襲われ、分娩台に上がった。外科医である私の妻が執刀した。娘婿も立ち会っている。
私は司令室のイスに座り、黙って司令官の動向を伺っている。何もできない。無力だ。この時ほど自分が、情けなく思えたことはなかった。
何だ、この微妙な音は。推進機関がおかしい。細い油圧管に、空気が混入している。ノッキングだ。だれも、異常音に気づいていない。私が、機関室に行かないと駄目なようだな。