ジェネシス(創世記)
しかし鉄の中心部の重さが一.四倍以上もあった場合、超新星はその重力崩壊によって収縮(しゅうしゅく)が進み、「ブラックホール」となる。

その中心部は、半径三キロ以内に縮(ちぢ)まり、その重力エネルギーが光の速度以上に達(たっ)すると、「光」は脱出(だっしゅつ)することができず中心部に引(ひ)きずり込(こ)まれてしまう。

 そのブラックホールも、決(けっ)して一つではない。無数に存在していた。宇宙の膨張にかげりがみえ始めた頃、これらの無数のブラックホールが威力(いりょく)を発揮(はっき)しだした。

複数(ふくすう)のブラックホールが、宇宙を収縮(しゅうしゅく)させる原因をつくったのだ。

 宇宙に存在する、あらゆる物質がブラックホールに吸(す)い込(こ)まれた。銀河と銀河が、引きずり込まれだした。

銀河同士が衝突しあい、大爆発を起こした。連鎖的(れんさてき)に次(つぎ)から次(つぎ)へと爆発した。宇宙の中で、無数の花火を打(う)ち上(あ)げたかのように明るく輝き、パッと散(ち)っていった。

 光は、ブラックホールに吸収(きゅうしゅう)された。凝縮(ぎょうしゅく)される宇宙空間、光もその狭(せま)き空(くう)間(かん)に集(あつ)められると、波長(はちょう)が短(みじか)くなりそのエネルギーは増幅(ぞうふく)される。宇宙全体が三00度になった。

 さらに収縮すると、六000度になり、太陽の表面のように輝きだす。さらに波長が短くなると、星は溶(と)けだし、いつしか完全に融解(ゆうかい)してしまった。

 何もかも吸収したため、宇宙の中に存在する物質はただ一つ、ブラックホールだけとなった。

今度は、ブラックホール同士で互(たが)いに重力で引きずり合った。それも一番強いブラックホールが、他(た)の弱いブラックホールを引きずりこんだ。

 
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