ジェネシス(創世記)
前世の宇宙

宇宙が誕生してから五五0億年以上も経つと、また宇宙に異変が起きた。宇宙の終焉(死を目の前にすること)である。

偉大なる宇宙の「創造主」にも、命はある。命ある限り、いずれ死は訪れる。だが、また再生される。輪廻転生だ。

 ブラックホールが増え続け、あらゆる物質を強大な重力によって引きずりこむ。銀河系が複数のブラックホールの重力によって、引きずり込まれて行く。

銀河と銀河が衝突し、恒星と恒星が衝突し、惑星と惑星が衝突して大爆発を起こす。そして宇宙に存在する全ての物質、光がブラックホールによって吸い込まれる。

 宇宙に残るのは、多数のブラックホールだけだ。今度はブラックホール同士で、引きずり始める。

最強のブラックホールが、弱いブラックホールを引きずりこむ。最後に残った最強のブラックホールは、己の重力によって縮爆し消滅する。

 それが、宇宙の最期となるはずだった。寿命を終えるはずだった。前世はそうだった。だが今回は違う。何かが宇宙で、「創造主」に異変が起こっている。


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