ジェネシス(創世記)
その頃、アブーの甥ロン(父はハン)は、ソドムという町で暮らしていた。無法の町、罪人たちがむさぼり巣くう町だった。

ロンのもとへ、三人の神官が尋ねてきた。神官たちは夜空を眺めていて、火星から飛来する隕石を予知したのだ。

神官たちの計算に間違いがなければ、この町に落下し破壊を招くであろうと、ロンに伝えた。ロンとその家族は、神官たちの言葉を信じ、荷物をまとめて町をすぐに立ち去った。

 町から遠く離れた場所で、背後に爆音と爆風を感じた。町に隕石が落下し、一瞬にして壊滅した。

神官たちの言葉を信じなければ、自分たちも災難に巻き込まれていたことであろう。しかし、ロンの妻が丘の上で振り返った時に悲劇が起きた。

遅れて落下した小さな隕石が、妻の身体を直撃したのだ。妻は炎に包まれ白い灰となり、絶命してしまった。


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