ジェネシス(創世記)
ある囚人が、ゼフのもとへ相談しにやってきた。夢の中の出来事が理解できずに、悩んでいたようだ。

ゼフはその夢の意味を解き明かし、見事に当ててしまった。当時エジプト人の間では、「夢占い」が流行っていたらしい。

 それから二年後、バロ国王は夢を見た。町中の占い師に頼ったが、だれ一人として当てた者はいない。自分の夢を、納得させるだけの言葉を得られなかった。

そんな時、その元囚人からゼフを紹介された。ゼフは監獄から解き放された。正装して国王と対面した。ゼフは国王から夢の内容を聞いて、その意味を解き明かした。

「エジプトの大地は、七年間は豊作になるが、その後七年間は大飢饉に見舞われます。その時に備えて、食料を蓄えておかなければなりません。飢えで民が滅び、国が滅びた話は枚挙に暇がありません」と答えた。

 国王はゼフの誠実さと、説得力、知恵と賢明さに感服した。ゼフは、長き奴隷生活と囚人生活から解放され、三0歳にしてエジプトの「農林水産大臣」に任官されるのであった。その後ゼフは結婚して、二人の息子ナセとイムの父親になった。

 だがゼフの才能は、「夢占い」の謎解きだけではなかった。幾何学に優れ、数学の基礎を築いた。それは建築や土木工学へと発展した。

天文学を研究し、季節の流れから農業の発展にも貢献した。水を利用した、「水平器」なる建築道具を発明した。土器でできた「水の時計」も作った。歯車による、「器械仕掛けの時計」も発明した。

 「とりつくし法」も考案した。毎年、ナイル川は氾濫した。その度に、測量を毎回行っていた。その土地に縄を張り、正方形・長方形・円形・三角形を当てはめる。細かく分割して(微分)、面積を求める。

その細かくした面積を数字にして足すと、「積分」となる。総称して、「微分積分」である。ちなみにこの測量方法は、古代ギリシャのエウドクソス(紀元前四0八~三五五年)が発見することになっている。そんな、夢を見た。

 さらに科学が発達すると、「電池」が作られメッキ技術が盛んになった。鉱業も進み、金・銀・銅・スズなどの採掘が行われた。特に青銅が作られた。

鉄鋼業はまだ発達していなかった。それだけ鉄の鋳造技術は、難しいものだったようだ。



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