ジェネシス（創世記）

地球。それから数億年も経つと、海の中でタンパク質の主要(しゅよう)構成(こうせい)成分(せいぶん)である「アミノ酸」が作られた。

そのアミノ酸から、タンパク質を核としたウイルス（濾過性(ろかせい)病原(びょうげん)菌(きん)）が生(う)まれ、単細胞(たんさいぼう)生物(せいぶつ)から多細胞(たさいぼう)生物(せいぶつ)へと進化(しんか)し、原始(げんし)生命体(せいめいたい)が作られるように至(いた)った。細菌(さいきん)、微生物(びせいぶつ)、カビ、そして植物へと、次第(しだい)に進化の過程(かてい)をたどって行った。

　一方(いっぽう)火星の海の中にも、数一０億年にもわたって細菌が育(はぐ)くまれていた。

しかし、火星と木星の間に無数の小惑星帯(しょうわくせいたい)が存在している。その巨大な隕石群(いんせきぐん)のたびかさなる衝突によって、えぐられるようにして火星の一部が吹(ふ)き飛(と)んだ。

　まるで人の体内の一部、肋骨(ろっこつ)から新(あら)たな人間を作るようなものだった。火星の一部が隕石となって、宇宙空間に吹(ふ)き飛(と)んだ。

衝突だけで終(お)われば、火星はもっと巨大化していたかもしれない。人類が生存(せいぞん)できるだけの重力・自転を、維持(いじ)できたかもしれない。

　火星に存在した「海」は、地中(ちちゅう)深(ぶか)くに埋没(まいぼつ)した。氷(こおり)の塊(かたまり)となって現在の姿を形作(かたちづく)るようになった。

地表が赤(せき)褐色(かっしょく)と化(か)した惑星では、生物は永遠(えいえん)に育(そだ)つことはなかった。

もし火星に海があれば、生命体(せいめいたい)に満(み)たされ、育(はぐく)まれた惑星になっていたことであろう。