sakura -サクラ-
バタンッ───
「紗葉さん!」
音がする勢いでリビングのドアを開けると、ちょうど紗葉さんがケーキの箱を広げていて、キッチンでお母さんが紅茶を淹れているのが見えた。
「さーちゃん!久しぶり」
振り返った紗葉さんは、満面の笑みで私を迎えてくれた。
ちょいちょいと手招きで呼ばれる。
つつつ、と寄って箱の中を覗くと、色とりどりのケーキやタルト、プリンなどが所狭しと並んでいた。
「うわぁ〜」
「今日もさーちゃんは2個ね」
小野田紗葉さんは紅兄の彼女。
いたずらっぽくウィンクした表情は絵になりそうなくらい綺麗で、スタイルも良くて、パティシエールじゃなかったらモデルでもやってるんじゃないかってくらい美人。