sakura -サクラ-



甘い物大好き家族はケーキの取り合いも必死。

お父さんもお母さんも大人気ないんだから。



「では」

「「いただきます」」



おっきな一口を頬張って、



「美味しいーっ!!」



叫ぶのはいつものこと。



「いつも代わり映えしなくてすみません」

「何言ってるのーケーキだって値上がりしてるご時世なんだから、気を使わなくてもいいのに」

「いいえ、どうせ廃棄になるものなので逆に申し訳ないくらいで」

「いやいや、こうやってしょっちゅう美味いケーキが食べられて嬉しいよ。なぁ咲良」

「うん!」

「それもこれも、ぜーんぶ俺のおかげ」

「何言ってるの、紗葉ちゃんのおかげでしょ!」



ありふれてる、だけどあったかい家族団欒で、私の頭からは今朝の出来事がすっかり抜け落ちてしまっていた───。



< 25 / 83 >

この作品をシェア

pagetop