sakura -サクラ-
「いいの?」
「もちろん」
「やった!ありがとう」
松本君の爽やかな微笑みにつられて、私まで笑顔になっちゃう。
鼻歌でも歌い出しそうなテンションで鞄から教科書やらノートやらを取り出す。
「もし良ければ、映画も見に行かない?」
一緒に。
と付け加えた彼の顔を振り向いた。
涼しげな目元はそのままに、だけどさっきより僅かに口角が上がってる。
「…え、えっと」
それって、ふたりでってことだよね。
私と、松本君。
「えぇっ!?」
数秒の後ようやく松本君の言葉の意味を理解した私は、驚きのあまり立ち上がってしまっていた。