sakura -サクラ-



「いいの?」

「もちろん」

「やった!ありがとう」



松本君の爽やかな微笑みにつられて、私まで笑顔になっちゃう。

鼻歌でも歌い出しそうなテンションで鞄から教科書やらノートやらを取り出す。



「もし良ければ、映画も見に行かない?」



一緒に。

と付け加えた彼の顔を振り向いた。

涼しげな目元はそのままに、だけどさっきより僅かに口角が上がってる。



「…え、えっと」



それって、ふたりでってことだよね。

私と、松本君。



「えぇっ!?」



数秒の後ようやく松本君の言葉の意味を理解した私は、驚きのあまり立ち上がってしまっていた。



< 40 / 83 >

この作品をシェア

pagetop