sakura -サクラ-
03.誕生日
「おはよう」
「おっ、おはよ!」
昨夜のメールのことを意識しちゃって、たかが挨拶にどもる私。
平然としてる松本君を見ると、やっぱり私の勘違いなんじゃないかって思えてくる。
でも、まともに松本君の顔が見れない…。
「数学の宿題、難しかったな」
「え?あっ!」
しまったぁ!
言われるまで綺麗さっぱり忘れてた。
今まで一回も忘れたことなんてなかったのに…。
「写す?」
私が宿題忘れたことを悟った松本君が、優しい顔で苦笑しながらノートを差し出してくれる。
その表情に、その行動に、またひとつ心臓が跳ねるのがわかった。