sakura -サクラ-



「付き合ってんだろ?」

「違う!」



囁いた武内君の方をキッと睨むと、ニカッと歯を見せて笑っていた。

ニヤニヤじゃないのが彼の良いところだけど、この際どっちだって同じだ。



「誰がそんなこと」

「みんな言ってる」



菜緒の言ってたことは本当らしい。

噂って怖い…。



「気づいてないだろうけどな、お前結構モテるんだぞ」

「はぃ?」

「お前らうるさい!」



バコッ───



服部先生に持ってたノートで殴られ、この話は武内君の変な一言を残して終わってしまった。

私がモテる?

笑えない冗談だ。



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