sakura -サクラ-



声のした方を振り向くと、そこにいたのは私の待ち人。





じゃ、なかった。



「え?」



なんで?

10mほど離れた先で目に入ったのは、“あの人”。

わざわざ訪ねてきて謝る礼儀正しさは持ち合わせてるのに、自分が何者か名乗りもしない超失礼な“あの人”だった。



「お洒落して、デートかな?」

「違います」



自分の顔が明らかに不機嫌になるのがわかった。

この人、なんか好きじゃない。

忘れかけてたのに、なんで今さら。



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