sakura -サクラ-
「いらっしゃいま…あれっ、さーちゃん?」
店内に入ると、丁度ガラスケースにケーキの補充をしている紗葉さんとばっちり目が合った。
その視線がすっと隣の松本君に移動して…
「あなたは、慎(ツツム)の…?」
「初めまして、弟の理です。兄がいつもお世話になっています」
真ん丸に見開かれた驚きの視線に、松本君が礼儀正しいお辞儀で答えた。
松本君の、お兄さん?
「いらっしゃい!ふたりとも食べていくでしょ?ゆっくりしていってね」
紗葉さんは実年齢より相当若く見える綺麗な笑顔でそう言って、それからレジにいるもうひとりの店員さんに何か囁いてからキッチンへと入って行った。
「お兄さん?」
「ゆっくり説明する。まずはケーキを選ぼう」
紗葉さんに負けない綺麗な笑顔で、松本君が促した。