sakura -サクラ-
「プレゼント、何がいいっ?」
どきどきする気持ちをはぐらかすように、言ってみた。
『そんなの、今日一日付き合ってもらったので充分』
「そういうわけにはいかないよ」
うーん、って電話の向こうで松本君が唸って。
『じゃあ』
「うん」
一瞬、息を吸い込む小さな音がして。
『咲良ちゃん、って、呼ぶ権利が欲しい』
胸を締め付けるような、声が聞こえた。
「……」
それは、言葉通りに取っていいのかな。
深読みしすぎ?
『綺麗な名前だから、呼びたいなって、ずっと思ってた』