sakura -サクラ-
どきどき、どくどく。
心臓うるさいよ。
「…うん。いいよ」
『ありがとう』
ふわっと笑った松本君が、見えた気がした。
『じゃあ、咲良ちゃん』
「は、はい」
『ふふっ、なんで急に敬語?』
わかんない。
「なんとなく?」
『変なの。あ、俺のことも理でいい』
「さと、し、君」
『ふははっ、はい。って言いたくなるな』
松本君が楽しそうで、私も嬉しい。
これって、もしかして。
『じゃ、電話ありがとう』
「うん」
『おやすみ』
「おやすみ…」
ぼんやりした頭のまま、終話ボタンを押した。