蝶々結び
髪を軽く乾かした後、夏休みの宿題を始めた。


創太にずっと引っ張られているせいで、まだ半分しか終わっていない。


夏休みはまだ半分以上残っているけど、早めに終わらせないと不安になる。


こんな考え方が、優等生だと思われちゃうんだろうな……


上杉先生も……


あれ……?


まただ……


どうして先生が出て来るんだろ……


ここにいると学校の事はほとんど思い出さないのに、上杉先生の事だけは時々思い出していた。


バッグの中に入れてあるブルーベリーガムは、まだ一枚も食べていない。


あたしはガムを取り出して、終業式の事を思い出していた。


『田舎まで近かったらすごいミラクルですよ?』


頭の中を過ぎった自分の言葉が現実になるとは思っていないけど、何だか上杉先生に会いたくなって来た。


「起きないかな、ミラクル……」


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