蝶々結び
ここに住んでいる訳でも無いあたしが踊るのは、どう考えてもおかしい。


この町に子供があまりいない、って言うのもあるけど…。


あたしが踊り子なのは……


「あたし、ここで生まれて……明日が誕生日なんです……」


あたしは控えめに説明をして、上杉先生から視線を逸らした。


そんな単純な理由で……?


誰もが、そう思うだろう。


自分(アタシ)だって、そうだから…。


『七ツ星祭り』の日に生まれたからって、この町に住んでいないあたしが踊り子なんて…。


『七星』の名前の由来は、そこから来ている。


自分の名前は可愛いと思うし、気に入っているけど、それとこれとは別問題。


踊り子に選ばれる事には、どうも腑に落ちない。


「へぇ、イイじゃん!」


「え?」


予想外の言葉にパッと顔を上げると、上杉先生が笑みを浮かべていた。


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