蝶々結び
創太は助手席に座り、あたしは後ろに座った。


運転するのは、もちろん上杉先生。


「どこに行くんですか?」


「さぁな♪」


上杉先生は楽しげに笑って、車のエンジンを掛けた。


「良兄、クーラー入れてや!」


「おう」


遠足にでも行くかのように歌なんて歌っている二人を余所に、あたしは一人、後ろで大人しく座っていた。


最近のあたしは変だ……


上杉先生の事になると必要以上に意識して、大袈裟な反応をしてしまう。


事あるごとに、こんなに動揺するのはどうして……?


これじゃあ……


まるで恋でもしてるみたい……


え……?


“恋”……?


まさか……


だって相手は先生だし、そんなのありえないよ……


きっと、優子や周りの女子達に感化されちゃっただけ……


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