蝶々結び
コンビニの自動ドアが開いて、創太も外に出て来た。


「七星、どうしたん?」


「創太……」


「……もしかして、昨日の事で落ち込んでるん?」


「うん……。それもあるけど……」


あたしはそこまで言って、小さく笑った。


「俺……七星の笑顔はめちゃ好きやけど、そういう笑顔は好きちゃうわ……」


「えっ……?」


「無理に笑った顔が一番可愛くないねんぞ!今のお前、変な顔やで!」


「そう、だよね……」


毎日毎日悩んでばかりだし、今のあたしはきっと酷い顔をしているんだと思う。


「何かあるんなら俺が聞いたるから、無理すんな!」


「うん……」


「ちゃうねんやったら、否定してくれてええねんけど……」


俯きながらも返事をすると、創太はそう前置きをしてから小さく息を吐いた。


< 169 / 494 >

この作品をシェア

pagetop