蝶々結び
翌日から、出来るだけ祖父母の家から出なかった。


祖父母や両親に促されても、上杉先生や創太に誘われても、課題を理由に断り続けた。


何日も何日も、そんな方法で先生と創太から逃げ続けた。


自分が身勝手な事も、ずるい事もわかっているけど…


こうでもしないと、何かに押し潰されてしまいそうだった。


だけど、逃げ続けて気付いた事がある。


それは、上杉先生への想いは初期症状なんかじゃなかった、って事…。


日が経つに連れて、先生が恋しくなる。


自分の中に封印しようとすればする程、余計に意識してしまう。


先生に会いたい……


それはいつしか、夢の中でも上杉先生の姿を追い求めてしまう程、あたしの素直な気持ちとして充分に表れていた。


恋愛経験の無い自分(アタシ)でもわかる。


ここまで来れば、もう末期症状だ…。


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