蝶々結び
創太は布団から出て立ち上がると、あたしをチラッと見た。


「創太……?」


「下……行くから……」


「あっ……。じゃあ、あたしも……」


あたしは控えめに言って、創太と一緒に居間に降りた。


みっちゃんもいない上に、気まずいあたし達の間には、静かで微妙な空気が流れている。


だけど…


よく考えたら、あたしは別に帰ってもいいんだ。


その事に気付いて、創太をチラッと見てから口を開いた。


「あたし……もう用事済んだし……そろそろ帰るね!」


出来るだけの笑みを浮かべてから、立ち上がった。


たぶん、あたしの顔は引き攣っている。


笑顔を見せながら、口元がピクッとなるのがわかった。


気まずさから解放されたい一心で、創太の返事も聞かずに彼に背中を向けて、逃げるように居間を出た。


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