蝶々結び
「あたしだって……片思いならきっと諦めてた……。だけど……先生とあたしは……両想いなんですよね!?」


上杉先生は何も言わずに、ただ悲しそうに笑うだけだった。


その笑顔は、先生の無言の同意ですか……?


「あたしは……先生の事が……好きなんです……っ……!」


その言葉と一緒に溢れ出した涙を拭いながら、上杉先生の返事を待った。


先生……


あたしじゃダメですか……?


そう思った瞬間、あたしの中の何かがプツッと音を立てて切れた。


「あたしは……先生が好き……っ!だから……先生の心が欲しいんです……」


精一杯の想いを上手く伝える術を知らなくて、少ない言葉を発する事しか出来ない。


上杉先生は、困ったような表情であたしを見つめていた。


きっと先生は、あたしへの言葉を必死に探してるんだね……


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