蝶々結び
息が上手く出来ない。


小さく深呼吸をしてから上杉先生の目の前に立ち、ゆっくりと口を開いた。


「好きか、嫌いか……。そういう答えを下さい……」


そう言った後、手の甲で涙を拭って精一杯微笑んだ。


しばらく黙っていた上杉先生は、呆れたように笑うと、あたしの手を強引に引っ張った。


「えっ……?」


バランスを崩したあたしは、先生の胸の中に収まっていた。


抱き寄せられたあたしの背中に、上杉先生がそっと腕を回す。


「好きだよ……。だから、いつも須藤の事が放っておけなかった……」


先生はあたしの耳元でそう囁くと、ギュッと抱き締めてくれた。


あたしの体に伝わる上杉先生の体温が優しくて、冬の寒さなんて忘れさせてくれる。


「先生……。あたしを……彼女にして下さい……」


あたしは、先生の背中にゆっくりと腕を回した。


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