蝶々結び
それから、あたしと上杉先生の関係は、少しずつ変わっていった。


朝と夜には、必ずメールをする。


内容は、『おはよう』とか『おやすみ』とかつまらない事ばかりだったけど、そんな些細な事がすごく嬉しかった。


学校の廊下ですれ違えば、こっそり笑って目配せをする。


生徒会の仕事を口実にしては、生徒会室に足を運んで上杉先生と過ごした。


“優等生の生徒会長”と、“彼女持ちの先生”。


あたし達の関係を怪しむ人なんていなかった。


今までは優等生だと思われるのが、煩わしく思う事もあった。


だけど、今は違う。


不純な動機かもしれないけど、上杉先生との事を怪しまれずに済むのが嬉しかった。


あたしは三年になっても、生徒会長の仕事を続けていた。


だけど立候補した訳じゃなくて、推薦してくれた白田君に二つ返事で同意したんだ。


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