蝶々結び
少しずつ落ち着いていくと、急に恥ずかしくなった。


「すみませんっ……!」


さっきの自分を思い出すと情けなくて、上杉先生の顔をまともに見る事が出来ない。


そんなあたしの気持ちを見抜くように、先生がフッと笑った。


「俺は、これから苦労しそうだな!」


ニンマリと笑った上杉先生が、あたしの顔を覗き込む。


「どうもすみませんっ!!てか、先生がからかうからでしょ!?」


嫌な言い方しちゃった……


可愛くないな、あたし……


先生の前では、もっと可愛くなりたいのに……


あたしは、自分の言葉に思わず眉をしかめた。


「こら、眉間にシワ!」


すると、上杉先生が人差し指であたしの額を突いた。


「……っ!!」


あたしは額を手で隠しながら、悔しいと言わんばかりに先生を見た。


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