蝶々結び
重苦しい沈黙の間に、伸し掛かる不安…。


しばらくして、創太が深いため息をついた。


「……いつからや?」


そう訊いた彼の声が、すごく悲しげに聞こえた。


「いつから……良兄と付き合ってたん……?」


今度は、本当に寂しそうな声だった。


「先月から……」


「良兄の彼女は?」


「先月、別れたって……」


「お前の親とか、この事知ってるんか?」


「ううん……。言ってない……」


「良兄って、お前の担任ちゃうんか?」


「今は違うよ……。生徒会の顧問はしてるけど……あたしはもうすぐ会長じゃなくなるから……」


創太の質問に答えるあたしの声が、少しずつ小さくなっていった。


「そっか……」


そう呟いた彼の声に胸の奥がギュッと締め付けられて、瞳に涙が溢れ出した。


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