蝶々結び
「良かったやん……」


「え?」


創太からの意外な言葉に、目を見開いた。


「良兄と付き合えて、良かったやん……」


傷付いているハズの創太の優しい言葉が、やけに胸に染みる。


「うん……っ……!」


「アホ!何でお前が泣くねん!失恋したのは俺やぞっ!!」


「だってぇ〜……っ……!」


創太の言葉で、余計に涙が止まらなくなってしまった。


「泣くなっちゅーねんっ!!」


「ごめん……」


あたしは小さな声で謝って、手の甲で涙を拭った。


「俺は振られた女を慰める程、優しくないねん!もう電話切るから、後は良兄に慰めて貰え!」


「創太……。ありがと……」


「おうっ!!じゃあな!」


創太はそう言うと、あたしの言葉も待たずに電話を切った。


創太……


ありがとう……


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