蝶々結び
母から奪い取るようにして手紙を受け取り、自分の部屋へと走った。


焦っているせいで階段を駆け上がる足が思うように動かなくて、何度も縺れてしまいそうになる。


待って……


こんなの、あたしの思い過ごしだよね……?


だって……


今朝、先生に会ったばっかりで……


先生は、あたしの事を好きって言ってくれたのに……


いつもみたいに優しく笑ってくれたのに……


頭の中で色んな事がグルグルと駆け巡っているからなのか、考えが纏まらない。


早くっ……!


息を切らしながら二階に上がったあたしは、がむしゃらに走って部屋のドアを開けた。


ドアを乱暴に閉めてバッグを放り投げた後、受け取ったばかりの封筒をビリビリと無造作に破いた。


そのまま息を整える事すらせずに、手紙の一文目に視線を走らせた。


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