蝶々結び
翌朝、早めに起きたあたしは、約束通り優子に電話を掛けた。


「……はい……もしもし……?」


寝起きで不機嫌なのか、眠そうな掠れ声で電話に出た優子に思わず苦笑してしまった。


「おはよ!まだちょっと早いかもしれないけど、もうそろそろ起きた方がイイよ!」


「……七星?どうしたの……?」


優子はまだ寝ぼけているのか、不思議そうに訊いた。


「そうだけど……。今日から修学旅行だよ?もしかして忘れてる?」


「あっ!ヤバッ……!キャッ……!」


電話越しに大きな音が聞こえて来て、優子が慌て出したのがわかった。


「大丈夫?」


「うん!あっ、電話くれてありがと!」


「ううん。じゃあ、また後でね」


「うん、後でねっ……!」


優子の慌てようが何だか可笑しく感じて、電話を切ってから笑ってしまった。


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