蝶々結び
数分後、支度を済ませてリビングに降りた。


「おはよ」


「「おはよう」」


両親に声を掛けると、二人は声を揃えて言った。


「今日から修学旅行だろ?忘れ物はないか?」


「大丈夫だよ」


いつまでも子供扱いをする父に苦笑した後、母が用意してくれた朝食を珍しく三人で食べた。


いつもは父が朝早くから出勤するから、一緒に朝食を食べる事はほとんど無い。


ましてや、三人一緒の朝食なんて久しぶりの事だった。


「皆で食べるなんて、久しぶりだな!」


そう言って嬉しそうな表情を見せた父に、あたしも笑顔で頷く。


「修学旅行、思い切り楽しんで来なさいよ!」


複雑な心境だから、本当はそんな気分にはなれないけど…


「うん……」


両親に心配を掛けたくなかったから、小さく笑って頷いた。


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