蝶々結び
あたしと優子は、流れ星が見たくてまたベランダに出た。


「あっという間だったね……」


「そうだね……」


寂しそうに呟いた優子に笑顔を向け、小さく頷く。


「ねぇ、七星……」


「ん?」


あたしは、小首を傾げながら優子を見た。


「違ったら、ごめんね……」


その言葉にドキッとすると、彼女が続けて口を開いた。


「さっき泣いた……?」


優子は言い難そうにしながら、それだけ訊いた。


「バレバレだね!」


わざと明るくハハッと笑って見せたけど、彼女があまりにも悲しそうに微笑んだから、ずっと堪えていた熱い物が堪え切れずに溢れ出した。


「泣いてもイイよ……」


そう言ってくれた優子に、何度も首を横に振った。


あたし達は、満天の星空の下で手を繋いで立っていた。


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