蝶々結び
「回りくどい事はしたくないから、単刀直入に訊くけど……」


創太はそう前置きをして、真面目な表情であたしを真っ直ぐ見つめた。


「良兄と何かあったんやろ?」


「何が?」


核心を突かれてドキッとしたけど、素っ気無い態度で突っ撥(パ)ねた。


「お前、嘘つくの下手やねんからな……」


創太は呆れたように言うと、あたしの頭を優しく撫でた。


そして…


「よしよし……。泣きたい時は、好きなだけ泣いたらええねん!」


そう言いながら、あたしをギュッと抱き締めた。


やめて……


そんな事しないで……


もう思い出したくないのに……


「どうしてぇ……っ……」


どうして、創太はあの時の先生と同じ事をするの……?


堪え切れずに零れ落ちたあたしの涙が、創太の服や床を濡らしていった。


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