蝶々結び
その日は、創太やみっちゃんも一緒に祖父母の家で夕食を済ませた。


始終、彼があたしの事を気にしてくれていたのは、痛い程わかっていたけど…


それに気付かない振りをして、笑顔を絶やさなかった。


無理矢理笑っているって言われたら、否定は出来ない。


だけど…


あたしはこの場所が好きだから、全くの作り笑顔って訳でも無かった。


「美味しかったね、創太♪」


「おっ、おう……」


祖母とみっちゃんの料理をお腹いっぱい食べた後、創太に満面の笑みを向けた。


大丈夫……


もう思い出したくないから……


今更、上杉先生がいない孤独を思い知りたくない。


創太とみっちゃんが帰った後はすぐにお風呂に入って、祖父母や母よりも先に眠りに就いた。


上杉先生の事を、もう考えなくてもいいように…。


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