蝶々結び
あれ……?


結局、あの人は誰だったの……?


明らかに若いから生徒だとは思うけど、私服だったし……


『またな』って事は、同じ学年って事なのかな……?


頭の片隅で彼の事を考えながら、携帯を取り出した。


「げっ、遅刻するっ……!」


ディスプレイに表示された時間を見て慌てたあたしは、生徒会室にバッグを置いてから体育館まで急いだ。


「遅いぞ、須藤!」


体育館に着くなり、生徒会長に怒られた。


ツイてない……


「すみません……」


「まぁ間に合ったから、別にイイけど」


会長はそれだけ言うと、生徒会の皆に指示を始めた。


あたしも皆と一緒に準備をしながら、さっきの男の子の事を思い出していた。


結局、入学式の間も名前すらわからない彼の事を考えながら、ずっとモヤモヤしていた。


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