蝶々結び
「今はまだやりたい事がわからないから、とりあえずは将来困らないように勉強してるだけだよ!それに、やりたい事を見付けた時に、成績のせいで諦めるのは嫌だし……」


「でも、普通は中々出来ないさ」


「まぁ、努力はしてるかな」


「そういえば、七星が『友達と遊びたい』なんて言うのは初めてだな!いつもは何も言わなかったのに」


洗い物を始めたあたしに、父が嬉しそうに言った。


父は、あたしの変化に気付いたらしい。


普通の家庭は、どうなのかわからないけど…


あたしは一人っ子だからなのか、両親はいつも細かい所まで気を遣ってくれる。


「最近仲良くなった子でね、すごく可愛い子なの」


タオルで手を拭きながら、父に笑顔を向けた。


「そうか。今度家にも連れておいで」


優しい笑顔を見せた父に、あたしも笑みを返して頷いた。


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