蝶々結び
「七星〜!行くわよ!」


部屋にいるとリビングから母に呼ばれて、荷物を持った。


「あ……」


ブルーベリーガム……


不意に机の上に置いてあるガムの存在を思い出し、上着のポケットにそっと入れた。


「七星〜!」


「はーい!」


リビングに降りて、三人で外に出た。


「お母さん、運転には充分気を付けてな。七星、また祭りの日にな!」


「大丈夫よ!お父さんも仕事頑張ってね!」


「うん、行ってきます」


あたしと母は笑顔で返して、車に乗り込んだ。


車が動き出しても、あたしは窓を開けて父に手を振った。


父も、笑顔で振り返してくれる。


「クーラー入れたから窓閉めてね」


「もうちょっと待って!」


手を降り続けていたあたしは、父の姿が見えなくなってから窓を閉めた。


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