蝶々結び
あたしは、優子に返事を打ち始めた。





《今、車の中だよ♪
田舎まで遠いんだ…
上杉先生いないんだね。
でも補習は頑張って!》





送信ボタンを押して、携帯を閉じた。


「お昼までに着くかしら……」


「無理だよ!」


「高速使うわよ」


「そりゃそう……わぁっ!!」


あたしが話し終わる前に母がアクセルを踏み込み、国道に出た事に気付いた。


「お母さん、捕まるよっ!!」


「大丈夫〜!」


「危ないってば!」


「別に違反してる訳じゃないし、大丈夫よ」


焦るあたしに反して、母は音楽を聴きながら楽しそうに運転している。


普段は安全運転の母だけど、田舎に行く時の運転は少しだけ恐い。


不安になりながらも、スピードを飛ばし続ける車の助手席に座っているしか無かった。


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