向日葵
「透子。いつもありがとねえ」
真紀子が微笑んだまま言った。
透子はビニル袋に入ったお菓子を冷蔵庫の上に置くと、ベッドの傍にあるパイプ椅子に腰を降ろした。
「・・大丈夫?」
透子が心配そうに声をあげた。
真紀子は頷いた。
「無理しないでね」
「うん、気遣ってくれてありがとう」
真紀子は一昨日、急に家で倒れて緊急入院することになった。真紀子は癌になってしまった。
一昨日も昨日も顔色が悪く、本人は大丈夫と言っているが本当に苦しそうだ。
「今日はね、お母さんが来てくれたのよ」
「・・おばあちゃん?」
「うん、ほら、それ」
真紀子が棚に置いてある花を指さした。
「お母さんが買ってきてくれたのよ・・。可愛いわよね。かすみ草が好きよ」
せき込みながら真紀子は言う。
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