向日葵
俺は満足したように前に向きなおった。
「昨日・・言いすぎたよな、ごめんな」
彼が窓の外を眺めながら言う。
「・・ミネ」
「俺、なんとなく、あんとき無償に苛立ってて。ほんとにすまなかった」
「・・俺もごめん、ミネが謝る必要はねえよ」
「うん、でもほんとにごめん・・。許してくれるか?」
「当たり前だろ」
ほんとは嬉しくて嬉しくてたまらなかったのに、バッグから教科書を探りながら冷静ぶって答えた。
「ありがとな。」
顔は見えないけど、なんとなく彼の表情がわかる。
多分・・笑っているだろう。
窓に映った彼の表情は、やはり笑っていた。

「・・真紀子」
真紀子の母・澄子が病室のドアをゆっくりと開ける。
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